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かっぱのすりばち
かっぱのすりばち

佐藤修・原作/ 廣田弘子・再話
藤原あずみ・絵
ISBN978-4-87077-207-6
本体1,300円+税
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日本図書館協会選定の本

福島県塙町・後援
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かっぱのすり鉢遊歩道があります


福島県塙町にある「かっぱのすりばち」(石)をめぐる、かっぱ母子と村人の哀しい物語・・・。
「人間の業」と「赦す(ゆるす)」ことを考えさせます。
総ルビ 小学校低学年から読めます。

かっぱのすりばち


福島県塙町。片貝川の「かっぱのすりばち遊歩道」をぜひ訪れてみてください(歴史ある湯岐温泉も)。

かっぱのすりばち遊歩道
廣田弘子・再話
(保育士、語り手たちの会会員。 著書=詩集『花といっしょに』『母からの道』。
東京都墨田区八広小学校校歌・作詩補作)

藤原あずみ・絵
(画家・エッセイスト。 主な作品=お話とあそぼう』『もっとお話とあそぼう( 藤原道子の名で。以上、一声社)、 『野遊びいっぱい』(萌文社))

かあちゃんは みっかみばんないてないて なきくらし、
みょうやくを つくりつづけた。



福島県の南部・茨城県との境に、塙(はなわ)町があります。
塙町を流れる片貝川に実在する「かっぱのすりばち」石。
この石にまつわる、哀しいお話・・・・。

この川に住むカッパの母子。人間といさかいを起こさぬよう、母と子は静かに暮
らしていた。
かっぱの子・かんきちと、村の子どもたちは、相撲を取ったり泳ぎを習ったり、
仲良く暮らしていた。
ところが、1人の子どもが川でおぼれたの機に、かっぱ母子の運命が暗転する。

無実の罪で、尊い命を奪われるかんきち。嘆き悲しむかっぱ母ちゃん。
その後、村を疫病が襲い、次々に村人が倒れていく。疫病を治すのは、かっぱの
妙薬しかない。
かつて罪もないわが子の命を奪った村人の懇願に、母かっぱは妙薬づくりを決意
する。
しかし、妙薬を作るのは、自らの命と引き換えの大仕事なのだ。

赦すとは? 本当に分かり合うとは? 異端者排除の恐ろしさ・・・、多くのこ
とを子ども水から感じ取る絵本。この時代にこそ、多くに人に読んでほしい。


あらすじ
村の子どもらは、かっぱのかんきちと仲良しだ。
夏には、片貝川で素もぐりを教えてもらう。ところが、1人だけいつまでももぐれない子どもがいた。それが庄屋の息子=じんろくだ。たった1人でもぐりの稽古をするじんろくが、不幸にも水死する。
それを大人たちは、「かっぱのかんきちがやったのだ」と決め付け、殺してしまう。嘆き悲しむかんきちのかあちゃん。その後、村に疫病が流行り、子どもらが生死をさまよう。観音様のお告げは、「かっぱのかあちゃんに、妙薬を作ってもらうしかない」。
子ども:かんきちの敵である、大人たちの願いを「村の子らは、かんきちの友達だでなあ」と受け入れる。妙薬を作るには、大きな石が必要だ。片貝川にあった大きなすり鉢上の石で妙薬を作ったかあちゃんは、精根尽きて死んでしまう。妙薬を飲んだ子らは日に日に元気になり、村人はいつまでもかっぱの親子の冥福を祈る。

一声者から一言
かっぱという異端者を、子ども達は受け入れるが、大人が排除し、あろうことか命まで奪ってしまう。
実力者である庄屋の息子の「死」に対して、誰かを犠牲にし、供えなければならない。
それは、弱いもの・ヨソ者である。こうした図式が、現代社会にも脈々と流れている。
「異端者」「はけぐち・犠牲」「本当の愛」「受け入れること」などについて、考えさせる、中身の深い絵本。



感想などが寄せられています。

 きっかけ:「福島の子供リフレッシュ・キャンプ」にボランティアとして豊中から参加。国立那須甲子青少年自然の家で活動し、所長佐藤氏の作と知り、立ち読みして(売店で)感動。
「かっぱ」をテーマにしたお話や絵本はいっぱいあるし、大したことないやろうとパラパラとめくりビックリ。なんというヒューマニスティックな深いお話。このカッパはおとぎ話のカッパではなく健気に生きている被差別の民衆である。しかも母子家庭。そして、両者の友情と断続。無理解無交流ゆえの差別と被差別。しかし、かっぱ母は被害者として終わることなく、差別者が謝って、お願いに来た時、頑なにならず、我が身をかけて妙薬を作り出す。そのお蔭で人間の子供たちの命は救われる。母ちゃんも、差別をしなかった子どもとその友だちのためなら、という思いもあっただろう。とても良くできたお話だ。「つくり話」っぽさがない。人間と人間社会の真実の姿を描いている。原作者の器量とハートに乾杯!いいぞ!佐藤修ちゃん!(大阪府豊中市 60歳 女 中学校教員)


最初に開いたページがかんきちが動かなくなったところだったので、この本が読めるかどうか手を止めました。しかし、読むことに決め読み進めると、感動の一言。命の大事さをしみじみと考えさせてくれる本でした。遠野にもかっぱの昔話がありますが、わが町高畠にもあります。本当にかっぱが存在したような気持ちになります。塙町にいつか行ってみたいと思います。(山形県東置賜郡 54歳 女 教員)

なんて心にシンと響く絵本なのでしょう! 友人や甥っ子たちにプレゼントした
いと思います。素敵な絵本を届けてくださり、ありがとうございました。

老人施設に行ったり、コーラスの集まりのとき、皆様に紹介しました。出版社をお訪ねの方もありましたから、きっとお孫さんに読ませたいと思われたのでしょう。
今、この時代に忘れてはいけいない、大切なこと(一番)が語られています。一人でも多くの人に手にしてもらえるといいですね。
(ソプラノ歌手&コーラス指導の先生 61歳)


『かっぱのすりばち』は、生や死を超えた、人を思いやる気持ちが溢れる絵本ですね。
(保育園父母)


良いお話で、絵がすばらしく、これは孫たちの保育所に買って寄付しようと思います。
(62歳 女性)


『かっぱのすりばち』は、深く静かにちらちらと心のひだに降り積もる絵本ですね。育児サークルの仲間や友人に紹介させていただいています。
(大学非常勤講師)


昔話の採録ですが、ほのぼのとした温かみのあるお話であると同時に、助け合って生きることの大切さを教えてくれます。
(60代 詩人)


本当にすばらしい絵本ができましたね。読んでいて涙が止まりませんでした。文にほのぼのとしたあたたかさを感じました。
(50代 語り手)


かなしくもあたたかい絵本、手にしてとても感動しました。言葉も絵も色も、心に伝わってきます。宝物になりました。
お話のろうそくで子どもたちに、絵本のできるまでのことを話して、読み聞かせをしました。みんな目をうるうるさせて、静かにきいていましたよ。
(保育園 園長)


児童館や友人に勧めて、一声社に絵本を5冊注文しました。絵と文がひとつのお話をそれぞれで語っているみたいで、すごくすてきな絵本でした。
(60代女性 詩人)


言葉のリズムが美しく、緑と青の色の深さがとっても素敵ですね。息子のRも絵本が大好きなので、一緒に楽しめる日が待ち遠しいです。
(臨床心理士 30代 母親)


ほぎれのいい文、そして絵も表情や思いが深く表現されており、専門家にかかるとこんなにもお話が生きてくるのかとうれしくなりました。


何とも言えない、心打たれる素敵なお話、心にジーンとしみこむものがありました。『かっぱのすりばち』の地を訪れてみたい、トヨばあちゃんの語りを生できいてみたい・・・思いが一層ふくらむ絵本でした。子どものように、その情景が浮かび、空想の世界が広がってきました。そして、なんだか読み終わると涙がでてきました。
(保育所 所長 50代女性)


心にしみるやさしくて悲しいお話で、そのあとしばらく出会う子すべての命がきらめき、河童の子を思って、胸がきゅんと苦しくなりました。これはきっと、幼い子どもでも大人でも、きっと同じ気持ちになるのでしょうね。息子の小学校の「読み聞かせの会」で是非、読ませていただきたいと思います。純粋な子どもの心に届けたい!と思わずにはいられない絵本です。
(40代 保育士)


素晴らしい絵本ですね。かわいそうなお話ですが、大切なことをたくさん教えてもらいました。
(60代 女性コーラス指導者)


『かっぱのすりばち』とてもよいお話ですね。かっぱのお母さんがとても存在感があります。 表情がとても好感が持てます。
「かっぱのかあちゃんは かんきちとこいったよ」
「かんのんさまと いっしょにいったんだよ」
この言葉も好きです。急遽されたご主人の泰行さんも観音様と一緒に行ったと感じられる言葉です。そして、その場面の絵は、廣田家、家族の図だと思いました。ほら、お父さんの左手がお母さんの肩を抱いています。この絵はまさに貴女と泰行さんが育ててきた家族そのものです。
(元 保育園園長)


素晴らしい贈り物!ありがとうございます。昔、過ごした福井の田舎の川が心の中いっぱいに思い出されてきました。かっぱの子の命が読み終えた後もドキンドキンと伝わってきます。 かっぱの母親の気高さ!人間が失ってしまったものですね。美しくて力強くて清らかで愛らしくて!作者の廣田さんの人柄が丸ごと注がれている。廣田さんの声が聞こえてくるようです。
「お~い、川にこいよ~自然を忘れるなよ」 「お~い、おいらと泳ごう!」








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