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「読み聞かせ」に関する日頃の悩み・疑問に代田知子さんがお答えします。
どうぞ、皆さんの「読み聞かせ」にお役だて下さい。


老人介護施設での読み聞かせは・・・?
Q1.縁あって老人介護ホームでボランティアで月1回の割合で読み聞かせをおこなっております。お年寄りに読み聞かせをするときの極意をお教えお願いします。(42才主婦)

  Q2.老人のディサービス施設で読み聞かせをしていますが、どんなのがいいのか手探り状態・・。昔話、笑い話とか読んでいますが、何かありますか?(37才主婦)


私自身の、老人施設での経験は数回のみですが、心身障害者地域授産施設(18〜35才)では、月1回読みきかせをしています。
また、老人ホームで読みきかせしているグループと、デイケアセンターで身の回りのお世話訪問をやりながら、時間を見ては読みきかせ(1対1がほとんど。時々は3〜4人集まる)をしている方から本選びの相談を受けています。これらの情報と経験をもとに、お答えします。


1.

相手への敬意、一緒に楽しむ、一緒に読み合うこども相手でもそうですが、特に人生の大先輩であるお年寄りと向かい合うときには、相手への敬意を示し、「この絵本、どうですか?」と、一緒に楽しむ、読み合うという気持ちを大切に。

読みきかせ以前に、お年寄りが読み手を信頼し、心を開いてくれる雰囲気をつくることが大切。いい関係ができるように工夫し、回を重ねてください。

「馬鹿にしないで。子どもじゃないんだよ」と、読んでいる最中にプイと出ていかれたり、「つまんない本だねえ」と、大声でいうおばあちゃんとそれを注意したおばあちゃんがケンカを始めた例など、いろいろ・・。

でも、「いい関係」が築かれてくると、「きれいな山の絵だねえ。もう一回見せて」と、自分が遊んだ山の思い出を語ってくたり、「私のしっている『三枚のおふだ』はちがうよ」と、その話をしてくれたりと、絵本をきっかけに話がはずむようになるようです。めげずに気長に、をモットーに。


2.

お年寄りの様子(心身の健康状態、家族との連絡が密か否かなどの事情)に、心を配っった本選びを。

良く知られている日本や外国の民話が好評。なつかしいんですね。

気分があかるくなる、楽しい本がいいですね。

例)『さんねん峠』(岩崎書店)は、韓国の昔話。気の持ちようで長生きできますよ、というユーモアたっぷりのお話。

『ねずみくんのチョッキ』(ポプラ社)など、対象年齢に上限のないいい絵本がいっぱい。
 毎回の反応をみながら、そこの施設のお年寄りが喜ぶ作品を探ろう。


(本選びの失敗例)
『おやすて山』(岩崎京子文 田代三善絵 佼正出版社)

【内容】
 殿様が出した、「年寄りは山にすてろ」というおふれに従い、母親をすてに行った息子が、山には入ったものの、どうしてもすてることができない。

【失敗】
 読んだ人は、「親を愛する息子の本だから・・」と選んだのでしょう。ところが、「親すて」と聞いたとたんに、一人のご老人が泣き出し、読みきかせ後も長いこと泣き続け、「心を不安定にさせた。どういうつもりで来ているのか?」と、施設の方にひどく怒られたといいます。「家族が誰も会いにこない、捨てられた」と思い暮らしている当人には、結末はハッピ−エンドなんだから・・、などという理屈は通用しません。この本は、子どもにはよく読みきかせる本。悪い本ではありません。でも、この場合は、本選びに相手への思いやりが欠けていたのです。


3.

童歌や童謡を
娯楽室でわあっと楽しむ「読みきかせタイム」 なら、導入や、最後などに、童歌や童謡を歌うといいですね。とても喜ばれますし、会場の空気が温かくなります。


4. 1対1の読みきかせサービスを
団体で聞くことには抵抗を覚えるが、「私の好きな絵本をご一緒にどうですか」という1対1の読み聞かせならしてほしい、という方が以外に多いのです。


5. 「お年寄りへの読み聞かせ」をする人に、読んで欲しい1冊。
『絵本を読みあうということ〜「読書療法」の向こう側とこちらがわ〜』(村中李枝/著 ぶどう社 1997年刊) 

※具体的な作品名をあげ、その作品を、施設のじいちゃんばあちゃんと読み合う日々の記録。決して押しつけでない、相手を尊重した姿勢がいい。お年寄りの心境や姿が浮かび上がり、人間への愛に満ちた1冊。児童文学作家である著者は、大学・大学院で心理学、児童文学を学んでいる。


代田知子さんプロフィール

埼玉県三芳町立中央図書館の主任司書。子どもの本の研究者で作家の父と、小学校教員の母の影響で、早くから絵本に親しむ。現在は「読み聞かせ」の第一人者として、子供たちへの読み聞かせは元より、司書向け講座等の講師として活躍。
イベント 『読み聞かせ会』 ect
<主な著書> 読み聞かせわくわくハンドブック  


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